慢性膝関節症の診断と治療
1.慢性膝関節症について
「膝の痛み」は老年者の愁訴の中でも特に多い愁訴であり、高齢化が進む中で益々増加傾向にある。加齢に伴う退行性変化が原因となる一次性と膝部の外傷の既 往が関係する二次性とがあるが、いずれの場合も関節周囲組織の変性・破壊と骨増殖による関節の変形が症状発現の原因である。しかも、病変と症状の程度は一 致せず、病変はあっても症状は無いというケースがかなり多いとはいえ、高齢者の愁訴別来院患者としても非常に多いので効果的な治療法の習得は不可欠であ る。
2.膝関節症診察(問診、触診、検査)の要点
①症状の内容と程度の詳細に把握。
②増悪因子と軽快因子を確認して対処。
③熱感と腫脹、浮腫の有無(下肢全般にチェック)を確認。
④筋緊張の程度、筋萎縮の有無、圧痛の存在を確認。
⑤関節の変形(静止角の度測定)、可動制限(ROM測定)の有無を確認。
⑥スクリーニングテストを用いて主要な病変部位を確認。
⑦舌診や脈診を用いて東洋医学的に弁証する。3.膝関節症の治療
(1) 「素問・ 繆 刺論」の応用。
①愁訴のある側の対側の肘の圧痛部に施術する。=膝関節部に熱感や腫脹があっても、局所を触らずに施術できる。
②治療効果を持続させる目的で円皮鍼などを留置する。
③マニュプレーションによっても治療効果が期待できる。
(2) 膝関節症のホームエクササイズ
①大腿四頭筋(特に内側広筋)の等張性訓練。
②膝の動揺性改善を目的としたテーピングなどによる固定法。4.膝関節痛のパルス療法
(1) 刺鍼または通電部位
①内側:血海{膝蓋骨内上角の上方2寸、大腿直筋と内側広筋との間にできる溝に取る}(緑色)と陰陵泉{脛骨内側顆の直下、脛骨の内縁を指先で上方へ向けて撫でていくと指が止まる所に取る}(黄色)
②外側:陽陵泉{腓骨頭の前下部の圧痛部}(緑色)、または足三里{脛骨祖面と腓骨頭の直下を結んだ線上の中点}と陰市、または梁丘{膝蓋骨外上角の上方3寸または2寸、大腿直筋と外側広筋との間にできる溝に取る}(黄色)
③後側:委上{膝窩横紋中央の上方2寸の圧痛部}(緑色)と合陽{膝窩横紋中央の下方2寸付近の圧痛部}(黄色)
(2) 通電方法:
①上記の通電部位から、症状の強い場所を選んで通電する。
② 3 ・ 20Hz のミックス通電で、 15 分~ 20 分間、痛みを引き起こさない強さで通電する。
③膝関節痛に対しては、内側と外側を組み合わせて用いることを原則とする。
④膝蓋骨部に痛みがある場合は、内側と外側のつなぎ方を次のように変更して通電する。:陰陵泉(黄色)と陰市(緑色)、血海(黄色)と陽陵泉または足三里(緑色)。
※本法は炎症症状のある場合にも用いることができるが、その場合は、痛みや腫脹の上界と下界に治療点をずらせて取る。
※鍼ができなければSSPを用いることができる。


