現代中医学を応用した花粉症の治療-その2
1.鍼灸治療法Ⅰ=標治法(局所の経気疎通療法)
(1)顔面部:配穴と刺法。
①百会=後方へ向かって0,5~0,8寸地平刺する。
②?会=百会に向かって0,5~0,8寸地平刺する。
③上星=百会に向かって0,5~0,8寸地平刺する。
*治療中、片側の鼻の通りが悪い場合には、上記3穴の鍼の方向を通りの悪い鼻の側に約10~15°針先を向けて刺鍼する。
④印堂=鼻先へ向けて0,5~1寸下方地平刺する。
⑤迎香=鼻通(鼻軟骨が鼻硬骨に移行する部の外側で圧するとよく響く所)へ向けて0,5~0,8寸地平刺する(透刺)。
*④と⑤については、重度の鼻閉塞に対処するためのもの。
(2)上肢:手の太陰経と手の陽明経の疎通を促して、肺の外竅である鼻を開通させ、気の通りを改善して症状の軽減をはかるための配穴である。
①尺沢=直刺またはわずかに上内側に向けて0,5~0,8寸刺入。
②孔最=直刺またはわずかに上内側に向けて0,5~0,8寸刺入。
③魚際=直刺またはわずかに上内側に向けて0,5~0,8寸刺入。
*魚際については肺熱を取る作用があるので、肺熱が隠っているような症例に用いる。
④手三里=直刺またはわずかに上方に向けて0,5~1寸刺入。
⑤合谷=直刺またはわずかに上方に向けて0,5~1寸刺入。
*上肢の各穴は、可能な限り得気が上方へ向かうように刺鍼すること。
(3)上項線部:鼻道を通調する目的を持つ。仰臥位で顔面部と上肢への置鍼後に片側ずつ順に実施する。
①天柱=やや上方または上内方へ向けて1~1,5寸刺入し、後頭骨下縁にある硬結様の反応を和らげる。
②風池=やや上方または上内方へ向けて1~1,5寸刺入し、後頭骨下縁にある硬結様の反応を和らげる。
③翳明=やや上方または上内方へ向けて1~1,5寸刺入し、後頭骨下縁にある硬結様の反応を和らげる。