現代中医学を応用した花粉症の治療-その1

現代中医学を応用した花粉症の治療-その1

1.花粉症について


(1)花粉症の概要:花粉症は「アレルギー性鼻炎」の一種で、正確には「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれ、アレルゲンとなる特定の花粉が飛散する時期に発生するもので、Ⅰ型アレルギー反応を機序として起こるものである。

(2)主な原因植物:

  ①ハンノキ類=1月中旬から5月下旬

  ②スギ科=2月上旬から5月上旬

  ③ヒノキ科=3月中旬から5月下旬

  ④イネ科(カモガヤ、ナガハグサ、オオアジガエリなど)=早くは3月中旬から11月上旬(多くは4月上旬から6月下旬)

  ⑤キク科(ブタクサ、オオブタクサ、ヨモギなど)=4月中旬から9月下旬

  ⑥クワ科(カナムゲラ)=9月中旬から10月下旬

  ⑦栽培群生植物(もも、温室イチゴなど)=3月上旬から5月上旬

(3)主要症状:花粉症の症状には、局所症状、全身症状、一般検査所見、特異的検査所見がある。

  A.局所症状:鼻症状、眼結膜症状、咽頭・喉頭症状があり、いずれも花粉付着部局所に起こるアレルギー反応によるもの。

   ①鼻症状=鼻粘膜の掻痒感に続いて、くしゃみ、水性鼻汁、鼻閉塞が主要で、花粉暴露によって反復的に出現する、鼻粘膜には発赤を伴う腫脹が見られる。

   ②眼症状=結膜のかゆみ、流涙、羞明で、眼球・眼瞼結膜の充血を認める。

   ③気道症状=気道刺激による咳が多いが、時に喘息を見る。

   ④その他=咽頭の痛み、外耳道のかゆみ、耳閉塞感。

  B.全身症状:全身倦怠感、熱感、寒気、頭痛、めまい等の全身症状が花粉吸入量の多い時に見られる。

  C.一般検査所見:血清免疫グロブリンでは、IgE抗体が時に高値を示す事以外は正常。末梢血では、好酸球増多を認める。鼻汁・涙液・喀痰中にも好酸球が多く見られる。血液生化学検査や尿検査は全て正常。

  D.特異的検査:

   ①皮内反応=病因抗原により陽性反応を示す。

   ②RAST=患者血清中のIgE抗体の有無を調べる検査法で、RAST値が高値であるほど症状が著明である。

   ③鼻粘膜反応=鼻粘膜上に花粉またはその抽出液を滲ませた濾紙を置き、鼻汁分泌が起こるかどうかを調べる。

(4)現代医学的治療:

  ①花粉暴露の回避:花粉シーズン中には自分の原因花粉植物に近づかない。戸外へ出る時にはマスクを着用する。

  ②減感作療法=原因花粉抗原の溶液を少しずつ量を増やして注射する。

  ③薬物療法=抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、局所副腎皮質ホルモン投与など。

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2008年3月19日|

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