顔面神経麻痺の治療(ラムゼイハント症候群を含む)

顔面神経麻痺の治療(ラムゼイハント症候群を含む)

1.顔面神経麻痺ってどんな病気?

顔面神経麻痺とは、大脳皮質運動野から顔面神経核・膝神経節を経て顔面部の表情筋や舌の前1/3の部など顔面神経の分布機関に至る経路上の何等かの病変によって起こる病態です。

顔面神経核およびその中枢部の病変によって発症する中枢性麻痺と、神経核より手前の病変によって発症するものを末梢性といいます。

主要な症状は表情筋の麻痺により生ずる閉眼困難(瞬きできない)、発語障害(ぱ行ま行が発音できない)などです。

中枢性麻痺の原因は脳腫瘍や脳梗塞などによる脳損傷で一般的に殆ど治癒しないとされています。

末梢性麻痺の原因は治癒率が高い精神的ストレスや寒冷暴露などの物理的刺激によるもの、ヘルペスウイルスの耳内感染による難治性のラムゼイハント症候群などです。

2.顔面神経麻痺の鍼灸治療(私の専門は中医学です。)

中医学では「口眼歪斜」と呼ばれ、局所的には顔面部の表情筋に分布する手足の陽明経絡と足の太陽経絡、膝神経節と関連して耳周囲に分布する手の太陽経絡と手足の少陽経絡の経気阻滞を原因としています。

その経気運行を改善して経絡を疎通させることにより症状の改善を図るが、そのためには顔面周囲の経穴(ツボ)だけでなく、阻滞している経絡の末梢の反応穴にも有効刺激を与えつつ治療を行います。

また、顔面部諸筋の運動療法と日々の経気運行改善を目的とした接触鍼の指導という独自のリハビリテーションプログラムにより治療効果をより高めて頂きます。

さらに、本治法(原因療法)として、個々の患者が持っている基本的な体質や気質を考慮して病因的なものを改善し、完治率の向上と後遺障害残留率の抑制に努める、という二重、三重の治療法を実施できます。

3.顔面神経麻痺の治療成績(私の32年間の臨床経験から)

一つの点として、運動麻痺の回復可能期限は特別な場合を除き、発症から8ヶ月くらいまでであることを周知して頂きたいと思います。

過去32年間の臨床実践の中で治療したラムゼイハント症候群を除く末梢性顔面麻痺113症例中(いずれも発症後1~5ヶ月以内)、完治例は113症例で、完治率は100%でした。

また、過去に治療したラムゼイハント症候群患者は28症例で、完治と見なせる症例(大きな表情の変化に対応して麻痺側が健側に引っ張られることも殆どない)は25症例で、完治率は89.3%でした。

残りの3症例についても急激な表情の変化に対応できないものの麻痺自体の改善は認められるので、効果率としては100%の成績を残しています。

中枢性麻痺や発症後8ヶ月以上を経過して治療に反応しにくい症例についても、治検例が少ないために効果率は下がるが、改善する可能性は大いにあると思われるので、是非一度ご相談頂ければと思います。

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2008年3月15日|

カテゴリー:顔面神経麻痺の治療について